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秋吉賢史《 建物》
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秋吉氏は、筆者(高見)の同郷(大分県日田市)の先輩である。心象を人物と風景に託して、情感あふれる絵を描いた。「抽象」と「具象」の概念が激突してしのぎを削っていた1960年代後半から1970年代へかけて素晴らしい仕事をした。が、「半具象」と分類されたその画風は、多くの支持者を得るまでには至らなかった。この先輩の大規模な個展が故郷の町で開催された時、私は、その会場当番を受け持ち、2週間の会期中、受付に座って来客を迎えた。会場では、「抽象画」は何が描いてあるかわからぬ、いや、美人画や花鳥画などの自然を忠実に再現する技術だけが絵画ではない、抽象とは風や空気や心を描き表す絵画なのだ、という論議の中間に位置し、黙々と自身の画境を守った秋吉さんは、にこにことその議論を聴いていた。そして、会期が半ばを過ぎた頃、大きな黒い絵が並ぶ、誰もいない会場で、私はひそやかな声を聴いたのである。それは作者の手を離れた「絵画」が、なにごとか、信号を発しているのであった。「絵がわかる」というのはこういう時のことをいうのだと、私は、その大切な感触を胸に収めたのである。
<ジャンル>絵画
<技法・材質>油彩/キャンバス
<作品寸法(cm)>16.0 × 23.0
<所属>空想の森美術館コレクション
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